わたくしの1番の親友ひとつはテレビです。 もはやテレビがなければ生きてはいけない。 何故そうなったかは定かではないのですが、もしかしたら入院がキッカケであったかもしれません。 まぁそんなことはどうでも良い。


さて、わたくしの好きなテレビ番組のひとつにNHK教育の「しゃべり場」ってのがあります。若者が10人前後集まって、テーマのみ設定して、司会者なし、決めごとなし、何でもあり、何でも話し合う、そんな番組です。 今年の4月か5月に17歳の若者がここに登場、話のテーマは忘れたけれど、この若者の発言が印象的であった。


曰く、「ボクの夢というか、目標はプロボウラーになることです。 だけどいま日本のプロボウラーに尊敬できる人は1人としていない。 そんなプロボウラーにはなりたくない。 ボクはプロボウラーであると同時に、エンターテイナーでもありたいのです。 ディスクジョッキーでもあり、ミュージッシャンでもあり、お笑い芸人でもある。 そんなプロボウラーにワタシはなりたい。」


こんなような発言でした。 驚きませんか? わたくしは驚いた。 驚いた理由はふたつ。 まず、尊敬できるプロボウラー皆無。 見透かされている! 同感だね。 テメエを含めて1人としていやしない。 17歳のプロボウラー志望の青年に見抜かれていたことにこりゃ驚いた! そして、次に驚いたのは、自分がなりたいと思うプロボウラーのイメージが、あまりにもわたくしが求める "これからの時代のボウリング場スタッフの条件" に合致していることにあります。


お客さまのほとんどはボウリング場に何を求めて来場されるのか? プロボウラーになりたくて練習にこられる人は、ひとつのセンターに1人もいやしない。 ほとんどのお客さまは楽しみを求めてというか、暇つぶしにみえる。 また健康のために、フレンドシップのため等でしょう? 健康やフレンドシップと言ったって、その前提に "楽しくなけりゃ" というのがなけりゃ来場していただけない。 しかし、スーパーボウルを含めまして、ボウリング場は本当に楽しいところなのでしょうか? その視点が、我がボウリング業界において大きく欠落していると思うのです。


17歳のこの青年はボウリングは大好きだけれど、ボウリング場は面白くない。 プロボウラーにはなりたいけれど、今いるありきたりのプロボウラーにはなりたくない。 お客さまを楽しませることができるプロボウラーになりたいのだと、わたくしは勝手に想像してしまいました。 この青年がプロボウラーになった暁には、ぜひとも当スーパーボウルにスカウトしたいと真剣に思っているのです。


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すみ光保

すみ光保(すみみつやす)

■1935年東京都生まれ。株式会社スミ代表取締役。1967年にライセンスNo.4第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。
主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、VJボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。

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