40代以下ぐらいの女性は洋服屋さんであろうが、レストランであろうが、用品店、お菓子屋さんですら、いろいろなところで少しでも気にいれば「オシャレー」「超可愛ゆい」なんて叫んでいますね。
「ステキ」と言うならまだわかるのですが、ここで言うお洒落(シヤレ)ってどのような意味なのでしょうか?  

ということで今月はお洒落を哲学。
“他人と同じだと個性がなくつまらない。際だった独自性は孤立しているようで怖い”  
そんな矛盾の中にお洒落はあるようです。「みせながら隠し、隠しながら見せる」こんなところがモードの難しさですね。  

真っ先に頭に浮かぶのは「モードの迷宮」という名著。著したのは現大阪大学学長で 哲学者・鷲田清一氏です。
ここを参考にしながらお洒落について考えましょう。    

男のお洒落で感心させられることはそう多くはないのですが、3~4年程前でしたか順天堂に入院していたとき、
隣りの病室によくお見舞いに来ていた80歳代後半とおぼしき男性のおしゃれに感心させられたのを思い出します。
80歳後半ですよ。私よりだいぶ年上。
まず姿勢が良い。
背筋がキチンと伸びて、歩き方も颯爽としている。そして着ている洋服が最高にお似合い。  
はじめジョルジオ・アルマーニだと思いましたが違う。とにかく似合っていました。しっくりいっていました。
90近い老人でこんな垢抜けたお洒落な人、日本人で初めて会いました。  

お洒落の基本は男女ともにまずプロポーション。それ以上に姿勢。特にわれわれ日本人は歩き方が非常に下手です。

昔わたくしはアルテアッシュというキャスティングの会社を共同経営しておりまして、トレーニングインストラクターに昔カネボウ夏のキャンペーンで売り出した、クリスティーン・マティーンという最高のコーチを配しました。

彼女の指導風景を見ていまして、日本人の歩き方の下手さ加減にガックリさせられたのをおぼえています。  
歩き方とプロポーション含めて自己改造はお洒落の出発点です。これが出来なきゃ本物のお洒落じゃない。

ですからわたくしはお洒落じゃない。
カッコ良くなるためにボウリングをもっともっと有功に活用したいですね・・・    

わたくしがブランドもので1番好きなのは、男女ともジョルジオ・アルマーニ。
次がヨウジ・ヤマモトでした。
ヨウジの白のシャツなんか良いですね。
そしてギャルソン。  
なんといってもアルマーニおじさんがステキです。鍛えられた肉体に黒のTシャツ。カッコ良いですね。
ただしジョルジュは縫製が悪すぎるのが欠点。  
良くて安いユニクロの7500円のカシミヤのVセーターなんぞ捨てがたい。  

“衣服というものは、人の身体に合うというよりも人の精神に合うものです”  
いかがでしょう、これは名言だと思うのですが・・・?  
「1枚の布きれによる身体の可視性への介入、あるいはその変容が、わたしたちの想像力を駆り立て、その想像力が、編みだす物語にそってわたしたちの可視的存在に意味が記入される、
そうしてこの意味の構成が布きれの複合と配置に規則を与える、
そのような回流する構図がここから浮かび上がってくるのである。」(ちくま書房・モー  ドの迷宮・鷲田清一著より)

わたくしには難しすぎるのですが、わかるような気もします。  
[可視的存在に意味が記入される] そのような意味づくりとしてのお洒落をしている人は非常に少ないですね。
しかしここがはっきりしないとお洒落はカタチづくれないのだと思うのですが、いかがでしょうか・・・  

お洒落は・才能 ・センス ・努力 ・品格 ・さりげなさ ・冒険 ・そうして個人的好みです。
これらが個性につながる。

さて、現在いくら歳をとっていても、今この瞬間が私の一生のなかで1番若いときです。
だから興味のあることは何をおいても着手すべきと思うのですが・・・  
お洒落はそのうちのひとつなのですが、ズボラなわたくしはいままでブランド物に頼ってきたので、金欠の現在どうしようもなくなっているのが現状です。

ここからがセンスのみせどころなのでしょうが、駄目でズボラな自分に絶望しています。  
病院にいますとお仕着せの病衣、もしくは自前のパジャマです。
同じ病衣にせよその着方に大きく個人差が出てきます。可視的に意味が記入されているかどうか・・・  

確かボードレールが言っていたような気がします。
「たったひとつのしわにも意味がある」みたいなことを。  
例え本人が気づかなくても、見ている人は感づいているか感知しているものです。
特に女性は敏感に察知する。ですからお洒落は面白いのでしょう。  
多かれ少なかれ、ほとんどの人は自分はお洒落でカッコ良いと思っているものです。
ここが始末に負えないところでもあるのですね。むずかしい。  

わたくしはオシャレではなく、今までを振り返ってみますと、生活を共にしてきた相方の好み次第でした。
つまりズボラなのです。残念ながらいい加減男のわたくしはオシャレではない。相手任せ。
従いまして同居人により大きく着るものの趣味が左右されてきました。

なんと自主性がない男なのでしょうかわたくしは…。  
例えば今までズボンの下にはアンダーパンツ以外は決して身につけなかったのですが、風邪をひいたらどうするのよ。
なんて脅かされてこのごろではタイツを身につけているしまつ。
温かいのですが、ズボンの感触が膝に伝わってこないのがさびしいというか頼りない。
若いころは冬でもアンダーシャツなしでワイシャツなどは肌に直接着ていたのですが、いまや下着ありです。
ジジイになるとその方がいいのですかね… 
もっと冒険をしてみたいですね…

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投稿者プロフィール

すみ光保
すみ光保
1935年11月8日、東京都生まれ。1967年1月にライセンスNo.4の第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。プロボウリング協会創設メンバーでもあり、プロボウリング協会に貢献した人物。2014年4月逝去。株式会社スミ、初代代表取締役。

主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。