5年がかりであった名古屋「本山ボウル」がついにオープンした。2ッの大きなテーマは @友好 と A健康だ。 「ボウリング場は地域に根ざさねばならない」と口では言ってきているが、それは具体的にどのようなことを指し、また具現化していくことなのだろうか? 閉鎖した殆どのボウリング場の地域の方々は、ボウリング場が閉鎖されて困っていますか? 「あァ潰れたか、閉まっちゃったか」程度でだれも困っている様子はうかがわれない。これじゃー地域に根ざしているとは言えないのではないか。長屋で八さん熊さんが将棋を指しているような風景、大家んちにみんなが集まってがやがや言っているような風景。つまり友達同志の集まりの場。本山ボウルに行けば誰かがいる。そんな場所でありたいと思うのです。だから第1コンセプトは「友好」。


 わたくしは18歳で煙草を吸い始め58歳まで吸い続けました。その結果は「間質性肺炎」またの名を「肺繊維症」。止めてから5年間ぐらいは煙草を吸っている人の側に行って深呼吸して浅ましくもおこぼれにあずかろうとしたものでした。いまはもう吸っている人の煙の匂いに嫌悪感をもつようなってしまった。人間ってすべからく自分本位なものですね。煙草は100%健康に悪い。いまや煙草はカッコ悪い。文明や文化の伸長度と喫煙率は比例しているようです。だから「本山ボウル」はわが国第1号センターです。全館禁煙。


 キーワードのひとつに「本物で行こう」があります。CS(顧客満足)を重要視しますが、お客さまには媚びません。あらゆるスポーツはルールのあるアソビです。草野球だってファールはファールですし、草テニスもフォルトはフォルト。それがルールですから。同じことがボウリングにも言えるはずなのに、ファールし放題、エチケット無視し放題などのところが多いのが現実です。またボウリングの試合を3ゲームから6ゲーム程度で行っているセンターが殆ど。本来ボウリングは年間を通してリーグを戦うのが基本的姿であるはずなのに・・・ボウリングにおける技術評価基準はAVG。そのAVGを根拠にした試合形式は唯一リーグなのです。リーグこそ友好と健康に直結するのです。


 毎週1回同じ曜日の同じ時間に同じ仲間が集まって、飲んだり食べたりしながら、いろいろなチームと約3時間。1年弱かけて友好を育みながら戦うのがリーグなんです。また健康の面でもリーグは基本となるのだそうです。病気をしないようにする予防医学の鉄則に@心拍数110〜140程度の運動を A週1回〜2回 B20分〜30分行うこと。だそうです。 ボウリングリーグは3ゲーム、週1回、3ゲームは約30分。年齢や体力、経験により違いはありますが、心拍数は110〜140程度になるのです。予防医学の鉄則にピタリのスポーツ、それがリーグなのです。


 みなさま大澤コレクションは如何でしょうか? 昭和40年代〜50年代のコレクションが中心です。ボウリングのよき時代のものが思い出を呼び起こします。ひとつのコレクションを前にして何時間でも語り合えるでしょう。その時代を知らない若者にはある種の鮮度をもたらしてくれると思うのです。歴史を知ることはいまの時代をより理解するために大切なことだとわたくしも気づきました。わが国のはじめてのボウリング専門雑誌「ボウリングマガジン」(現ボウリングマガジンとは別物です)全冊揃っています。世界でここだけでしょう。これは誇りです。なんせわたくしが創設メンバーなのですから。自慢です。


 スポーツバーは、わたくしが最も楽しみにしているところなのですが、残念ながら突発事故のため、オープン日に間に合わす8月1日にずれ込んでしまいました。本来“ボウリングというスポーツは飲んだり食べたりして楽しむスポーツ”でありながら、日本人のスポーツに対する古くさい概念が「ボウリングをしながら食べたり飲んだりするとは何事か!スポーツに対するボウドクだ」ってんで、ボウラーズベンチから飲み食いを全て追い出してしまったのが業界でした。友好を促進させる重要なカギに飲み食いがあることは当然のこと。しかもボウリングは“飲んだり食べたりするスポーツ”という特色があるはずなのです。ビアフレームというボウリング用語があることをご存知でしょうか、5人チームで4人がストライクを出して1人がストライクが出ないとき「ビアフレーム」といって4人にビールをおごる習慣があるのです。復活させたい。そんなボウリングの特質を復活させたい。それがわたくしの強い思いです。


 さて、おかげさまで本山ボウルは無事にとは言えないまでもオープンはできました。先ずはオープンから足をお運びいただいております多くのお客さまに感謝です。少しずつでしょうが本山ボウルを発展させてまいります。そして約2ヶ月前よりオープンのために力をそそいでくれたスタッフに深謝深謝です。この1ヶ月は朝7:00出勤で、23:00過ぎあがりというキツイ勤務の連続でした。顔を見れば疲れは一目瞭然ですが、スタッフのみんなは自ら進んで目を輝かせての仕事でした。凄い奴らです。みんなありがとう!そしてお客さまに深謝深謝!!





次ページ:フラッシュバック的な思い出深き仲間の振り返り
すみ光保

すみ光保(すみみつやす)

■1935年東京都生まれ。株式会社スミ代表取締役。1967年にライセンスNo.4第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。
主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、VJボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。

BackNumber
このページの先頭へ