ごく親しい仲間の一人に,若いくせに何故か杉本勝子の大フアンがいる。  そいつが杉本のことを書け書けとうるさい。当センターの良きお客様でもあるし、今月は杉本勝子を思い出そう。
といったって彼女とは半年に1回程度は会っているのだが・・

 何年前だったろうか、杉本勝子がUSオープン2連覇した翌年だったか、日本テレビからわたくしにクリニック番組を創りたいので協力頼むという要請が舞いこんだ。

台本と監修、そしてキャスティングの一部がすみ光保。パーソナリティが落語家の夢の助だった。
「ギャルスボウル」というタイトルだ。素人をコーチして上手にさせることをテーマにした番組だったので、
4人の素人の内1人をRWを採用。RWは実はオイラの娘だ。コーチ役にUSオープン2連覇したばかりの絶好調杉本勝子を抜擢した。

 杉本はとてもよい仕事をしてくれた。そしてRWを麻布十番の一流の焼き肉やなどに連れて行ったりしてくれてとても可愛がってくれた。ですからわたくしもそのお礼に杉本勝子を可愛がらねばならないと思い、日本テレビの次のクリニック番組「VJボウル」の主役に杉本を再度抜擢。
ひょっとするとわたくしは賄賂にもろい男なのかもです。  

さて、この「VJボウリング」のコンテを担当したわたくしは、そのコンテを基に日本テレビ出版より自分では3冊目のボウリング技術書を発刊。この「VJボウリング」は技術書としては不朽の名著として位置づけられているのです。あるラジオ局ではこの本をネタとして2年間もの間、放送していたものだ。ぜひみなさまにも読んでいただきたいのだが、残念ながらすでに絶版でいまや入手は不可能なのであります。(絶版でよかった)

 そうだ杉本勝子のことだった。さすが当時1番のトーナメントプレイヤーこちらの難しい注文もいやな顔一つしないでチャレンジ対応してくれた。たとえばボールの回転数。フィンガーの先に白いテープを貼って投球。それをVTRのスローで撮影、後でその回転数を数えて解説するのだが、普通自分の回転数などは公にしないものである。  それを杉本はいやな顔を見せないばかりか協力を惜しまなかった。
 そればかりか打ち上げの時、わたくしまで麻布十番の名店に招待いただいたのであります。  

余談なれど、娘RWはこの番組をきっかけにして芸能界入りをし、小泉今日子主演の「生徒諸君」の悪役でデビューした。テレビでは悪役専門役者だった親父としてはこりゃー気になり早速見に行く。そしてあわてた。役者としてなっていない。女優として大成したいなら演技術を学ばねばならない、と諭すことになる。
そんなめんどくさいなら辞めるわよ、と彼女はすぐに足を洗った。
そしてすぐにモデルに転身し、「VIVI」などの専属になり、「ひょうきん族」などのバラエティー番組にも出たりしていたものだ。年とってからは「ストーリー」などに出ていた。  
こんな風にそこそこタレントやモデルの世界でメシが食えたのも、もしかすると杉本勝子のおかげなのかも知れないのである。  

 杉本はいまJPBAの理事として活躍している。


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すみ光保

すみ光保(すみみつやす)

■1935年東京都生まれ。株式会社スミ代表取締役。1967年にライセンスNo.4第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。
主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、VJボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。

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