ハンディキャップ[HANDICAP] ボウリングではHDCPと略して使う。勝負の公平、もしくは面白くするために、優者に負わせる余分の負担。または、弱者に与える有利な持ち点。一般に不利な条件。そこから生じる不利益。身体の障害。由来は「Hand In Cap」で、帽子の中に手を入れて取る富くじからとも。競馬で賭け金を帽子に入れたことに由来するとも言われている。[すみ光保著 ボウリング用語辞典より]


「あんなにHDCP持たれたんじゃ勝てっこないよ! つまんねーからもう出るのやめよーっと!」
「何であいつ、あんなにHDCP持ってんだよ? 面白くねーよ!」


このような声が多々ございますネ。分からなくもないのでございますが・・・少し勘違いなさっておいでではないのでしょうか?


まず第1に、技術が上の者は、自分より下の者に対して優しくあるべきなのだ。これがボウラーズシップというものであります。試合中、同時投球のエチケットを知らない初心者が、こちらが構えて集中しているときアプローチされる。カーッときて睨みつけたり、怒鳴ったり、フロントに文句を言ったり・・・自分だって始めたばかりの時はエチケットなんて知らなかったのよ。優しく教えてあげようよ。たまたま打てなくてアベレージを下げ、その試合当日バカ当たりする。そんなことはボウリングでは珍しくはない。それをブーブー言うようじゃ優しくないね。祝ってあげようよ!そんなヤツを!


第2に、ボウリングの技術評価基準はアベレージだということ。 ハイゲーム打てばアベレージは上がるし、ローゲームではアベレージが下がる。アベレージが下がれば、HDCPは増える。アベレージが上がれば、HDCPが減る。アップダウンがあるのがボウリングであり、その中でアベレージが高いということが最高の価値になるのであります。なのにオヌシは目先勝つことを最重要視しているのではないか? もしそれが最重要課題であるならば、HDCP稼ぎのダンピングをおやりになることです。しかし,明らかにダンピングということが証明(複数の対戦相手の証言)されれば、その試合からボイコットされ、その年全ての試合の出場を禁止される。そんなことより、優しくないのだよ、その方は!


第3に、ボウリングのHDCPは、まずベースの設定があり、そのベースから自分のアベレージを差し引き、出た数字にあらかじめ決められているパーセンテージを当てはめたものです。(但しこれはインディビジュアルHDCP)たとえば、オヌシのアベレージが170だったとし、ベースが200で90%HDCPとすれば、200-170=30 30×0.9=27ピンのHDCPとなる。80%だと24ピン。70%だと21ピン。100%だと30ピンのHDCPとなるのであります。100%だと、ビギナーが強いね。何故かと言えば、下手なヤツほど伸長度が高いから。わたくしは90%派です。10%分上級者に有利だけど、下手な人にもチャンスが大きくあるからです。スーパーボウルは90%が主流のはずです。


スポーツの目的は勝つことではありません。勝つことは目標です。スポーツの目的は [ 友好 = フレンドシップ ]と[ 社交性 = ソシャリティー ] なのだ、と少なくともわたくしは考えます。スーパーボウルは友好の場、社交の場、コミュニケーションの場、優しい人の集まりの場でありたいといつも願っております。


次ページ:レイ・ブルースとドン・カーターの名言
すみ光保

すみ光保(すみみつやす)

■1935年東京都生まれ。株式会社スミ代表取締役。1967年にライセンスNo.4第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。
主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、VJボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。

BackNumber
このページの先頭へ