●反省ありき

「なァ、あの野郎、芝居うめーえったらないよなァー」
 良くあるこんな台詞、この芝居とは“嘘”と同義語であろう。うる覚えな記憶をたどると、千田是也の明言に「俳優の技術はウソをつく技術ではない。いかに真実を伝えるかの技術である。」というのがある。これを思いだし、いきなりガクーンと思い当たったのであります。  先月、役者時代の思い出を書いた。そして気づいたことなどいろいろでてきた。その気づきはわたくしの人生をひっくり返すような苦いものばかりである。例えばこうだ。役者から足を洗った後のオレの全てはウソをつく技術であったのではないのだろうか?という疑問と恐怖感とその気づき。イヤ、役者時代のオレの芝居も含めて全はウソをつく技術であったのではないか? そんな恐怖感にいま苛まれているのだ。

 インストラクタークリニックにおいて、大勢の受講生の前でとうとうとしゃべくっていたのはウソをつく技術だったのではないか? インストラクターだけではない、人前でしゃべくるのはちーとも苦にならないばかりか、むしろ得意だ。但し事前に台本(テキスト)が必要だ。即興での挨拶なんてのは絶対に断る。今でもだ。わたしゃー役者だったから、役さえ決まれば感情移入して役になりきれる。つまり40年間以上講師の役を演じていたのである。真実を伝える技術でなく、ウソを伝えるヘボ役者としてである。

その証拠①
インストラクターはともかく、なんで計数管理能力ゼロのオレがマネージメントセミナーの講師が務まるのか? もっとも計数は担当しない。

その証拠②
接客サービスのセミナーもBW会の他講師を受講して、自分の体験を付け足してテキストを作成(役者体験が活きた)し、3日間のプログラムを行っていた。接客なんて勉強もしたことないのにである。ヘボ芝居なのに、それがまた好評なのである。体験談が良いのか?

その証拠③
オレのセミナー講師役全ては、すべからくヘボ役者のウソをつく技術によるもので、真実を伝える技術ではなかったのか?この気づきは自分にとって大変恐ろしいものであります。さてどうしたものか? 

●弊社創設40周年

 設立された会社の50%は1年で無くなり、3年後には80%が無くなるという話をあるセミナーで聞いた。ホントかね?オレンチは40年だぜ!長くやればいいってもんじゃないし、威張ろうてんじゃないのだけれど、それにしても40年とはよく続いたぜ。オイラも初心者老人の仲間入りするわけであります。さてお立ち会いだ。当社、つまり株式会社スミ。略してカブスミも40年だ。変えるのじゃなく、変わることとした。スタンス変えればボールの行き先が変わるように、カブスミはスタンスが変わるのであります。今まではBrunswickの庇護のもとに経営してきたわけで、その目的も少なからず“Brunswickのために”だった。今全く自由になり・業界のため・お客さまのため・スタッフのために変わります。その目的を明確化するために4つの部門に整理して経営します。

①直営部門
スーパーボウル高松と小郡スーパーボウルの2センターが現状ですが、今期中にはもう1センターを加えたいと考えます。そして“ボウリングの本質ははリーグだ”を伝えていきたい。

②AC部門
アドバイサリーコンサルタントの訳で、この部門を中心に38年間を経てきました。今年後半より改めて打って出ます。ウソの技術でなく、真実を伝えることでお役にたっていきたい。

③販売部門
ボウラーにとって、ボウリング場にとってステキな商品を開発し、販売していきます。まもなく発表できると思います。特に経営者のみなさまお楽しみに。

④NB部門
全く新しいビジネスを展開します。例えばキッズフォト。現在テスト店を神戸で展開中、大好評です。ニュービジネス・・・ボウリング場はボウリングをするところというのは既成概念。それをいち早くモデリングしたのがROUND1だ。敬意。カブスミにROUND1とは違ったアングルで実証させてください。またボウリング場のエアコンメンテナンスを請け負いますし、自力で行えるようにご指導いたします。経費外注の2分の1以下です。

●接客について

 さて、我々は今期も接客を最重要視課題として、そのグレードアップに取り組んでまいります。“お客様と接する”と書いて接客。弊社前期の接客スローガンは[もっとお話しようよ]でした。お客さまともっとお話しし接して、その輪をもっと広げていこう。スタッフ同志も、もっとお話ししてチームワークづくりを進めよう、というものでした。今期はそれをもう1歩進めて。

●笑顔!私のハートのみせどころ

 接客は技術的部分も無論ありますが、根底はハートです。人間的やさしさです。ホスピタリティーです。しかし人によってその表し方は変化する。そこでわれわれは自分のやさしいハートを笑顔で表現していこうと思うのです。「テメーこの野郎、オレのこと見て微笑みやがったなー」って怒るお客さまはおられないでしょう。 我がセンターにはやさしくないヤツは一人もいません。みんなやさしいハートの持ち主です。しかし、その表現の仕方は一人ひとり違うし、違っていいのでしょう。だが、我々はプロなのです。接客のプロなのです。ならば一人ひとりの個性の上に立脚し、 全員でお客様に笑顔でおもてなしをしていきたい。笑顔こそ和と輪と話をつくります。そうした心を[笑顔!私のハートのみせどころ]と表現しました。これを今年1年の接客スローガンとしてまいります。これは宣言です。みなさまも、この[笑顔!私のハートのみせどころ]にご参加下さい。

 三島由紀夫が何かの著作の冒頭の描写で、自分が産湯に浸かっていたときの情景を記憶していると、書いていたように思うが・・・・「仮面の告白」か?わたくしメも3歳ぐらいからの記憶が意外と鮮名に残っているのであります。幼稚園時代、惚れたオンナがいてどうやって口説くかに悩んでいたこと、だとか・・・・ いまでも同じ悩みはあるのですが・・・・ どうだ若いだろう!と言いたいのであります。

投稿者プロフィール

すみ光保
すみ光保
1935年11月8日、東京都生まれ。1967年1月にライセンスNo.4の第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。プロボウリング協会創設メンバーでもあり、プロボウリング協会に貢献した人物。2014年4月逝去。株式会社スミ、初代代表取締役。

主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。

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