昨年に引き続き、日坂義人をフューチャーしたドリルのセミナーを9月28日から10月17日にかけて全国5会場で行った。(いまその真っ直中にいます) 但し、昨年との違いが2つあります。 1つ目の違いは、昨年まではBrunswick主催でしたが、本年度からは株式会社スミが主催であること。 昭和42年[1967年] Brunswickと契約して以来、昨年2005年12月一杯で38年間の契約を終了し、今回より弊社単独で行うということです。 2つ目は、昨年まではドリルに絞ったセミナーでしたが、本年度からはインストラクションとオーバーラップさせたということです。 例えば、ドリルを専門としている人は全てをドリルで解決しようとする傾向があり、インストラクションの専門家は、コーチングで全てを解決しようとする傾向にあるようです。 ドロッピングボール [ボールを手前に落とす現象] を例に挙げれば、グリップの改良ですべからく対応できるとドリラー日坂義人は言い、わたくしはコーチングで全て対応できると豪語する。 これは2人とも正解であると同時に、2人とも間違いなのである。

インストラクターは戦い方の指南役であり、ドリラーは戦いのための武器の作成者だ。 つまり侍で言えばボウリングボールは刀に相当し、その刀を使ってどう戦うかはインストラクターの仕事となる。 ですからインストラクターはドリルの知識がなければならないし、ドリラーはインストラクションの能力が求められるのであります。 ということはどちらの立場でも双方の知識と技術をもたねば片手落ちになるわけです。 ボウラーの投げ方を判断することなくドリルはできないし、そのボウラーにマッチするボールの判断なくしてコーチングは成り立たないのであります。

ドリラーはメジャーするときまず投げていただき、相手との会話を通してメジャーをしていく。 つまり投げ方の判断、コーチングの着眼点無くしてドリルはできない。 さらに、そのお客さまの目指すボウリングは何かなどの把握無くしてドリルはできないのです。 ここでそんな技術的なお話をしようとするつもりはありません。 日坂義人という優れたプロドリラーについて触れたいのです。 ボウリングマガジンに長い間 [ボールリアクションガイド] を執筆しているのでトップボウラーの方々は誰もが知っているだろう。

みなさん、わたくしすみ光保はとてもとても優しく、誠実この上ない男なのであります。 約束は必ず守る、信じるととことん信じる。 頼られると自分の実力を忘れて何とかしようと思い続ける。 それほど優しく誠実なわたくしをして、ひれ伏したくなるような相手、それが日坂義人なのである。 わたくしを悪く言うヤツはゴマンといるけれど、日坂義人を悪く言うヤツは皆無なのだ。 彼とはもう30年以上のつき合いになるだろうか? 記憶にないのだが、日坂義人によると、わたくしとの初めの出会いは、わたくしが講師を務めていたインストラクターセミナーだったという。 その後、当時日坂義人が勤務していた追浜ヘルスボウルに行ったとき声をかけられた。 「すみさん、ビル・テーラーのドリルセミナーに行かれましたか? もしまだでしたらその時のテキストコピーしましょうか?」 こうしたちょっとした恩義を決して忘れないのがわたくしなのであります。 つまりこの文章はわたくし、自分を売り込むためのものでもあるのであります。

それ以来でした、わたくしの頭にいつも日坂義人の名前がこびりついたのは。そして彼はドリルとインストラクターの世界で抜きんでていった。 今年57歳になる日坂義人はいま投げたら200は打てないだろう。 しかし日坂義人こそ本物のインストラクタープロなのであります。つまりボウリングの本物の専門家なのである。それがインストラクターなのだ。 ドリラーっていう種族は職人のせいか、頑固者が多く、他のドリラーを否定することで自分を売り込もうとするヤツが多いが、日坂義人は決して他の仲間を悪く言わない。 日坂義人との仕事は楽しかった。 何よりも彼の人柄、誠実性、ボウリング知識、ドリル&インストラクション技術、ボウラー開発の情熱、探求心、公明性、恐れず自分の意見を主張する自信、まるでわたくしと同じなのだ。 違いはわたくしが多少ピントがずれていることなのか?

投稿者プロフィール

すみ光保
すみ光保
1935年11月8日、東京都生まれ。1967年1月にライセンスNo.4の第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。プロボウリング協会創設メンバーでもあり、プロボウリング協会に貢献した人物。2014年4月逝去。株式会社スミ、初代代表取締役。

主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。

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