“ひとつのリーグは独立したクラブ組織である”
キャッチボールも楽しいけれど、本当の野球の楽しさは9人でチームをつくり、他のチームと対戦するところにあります。
ボウリングでただボールを転がしているのは野球のキャッチボールと同じで、それはそれで楽しいのですが、本当のボウリングの楽しさを体験しているとはいえません。
すぐに飽きます。
教室を担当していますと、「昔流行していた頃投げていたけれど、今日は30年振りです。」などという方がいかに多いいか・・・
本当の楽しさを体験なさる前に止めてしまっているのでしょう。
ボウリングの本当の楽しさはリーグ戦にあるのです。 リーグという単語を索引すると
<同じ目的をもった仲間たちが、力を合わせてゴールに向かうさま>とあります。
これがボウリング唯一の試合形式である「リーグ」の本質なのです。
つまり‘絆’‘連帯’互助、連合などがリーグの精神なのです
ところが我が国のリーグの現状はリーグもどきではあるのですが、基本的に正しいリーグはほとんど行われていないのが実情です。何故でしょうか?
業界の勉強不足、知ったかぶりのスタッフやプロボウラー、何よりも経営サイドのアマさが大きな要因です。当センターチェーンも残念ながら大いに問題ありです。
そこで今月より、我が国のリーグの間違いの現状を何回かに分けて、その指摘と対策についてわたくしの知ったかぶりを織り交ぜて触れていきたいと思います。
まず先月LTBのことに触れました。 LTBの目的、それはリーグをつくることにあります。LTBの貫通目標それはリーグの創造でです。
ではリーグの目的、リーグの貫通目標とは何か?
①フレンドシップの醸成
②コミュニケーションの促進と友達づくり
③戦うことのエキサイティング
④技術の向上
⑤健康
⑥その他
リーグや教室参加者の目的は様々です。だからこそ面白い。現状の目的ベスト4をご紹介しますと 1位:健康のため 2位:友達づくり 3位:上達したい 4位:ボールを曲げたい。 また、経営的アングルからリーグの効用を考えると、それは経営の安定への布石です。理想的な経営は、全てのレーンが年間を通して常に予約で埋まっていることです。もしそれが可能だったらこんな楽なことはない。リーグはお客様が自主的に運営してくださるのが本来だし、それができていないのが現状で問題なのです。ボウリング場はただレーンを提供するだけで良いのですから。しかしお客様が自主的に運営するリーグがほとんど無いのが実情です。 それはセンターサイドがその方向に誘導できないところに要因があるのです。つまり企業努力というか、経営者サイドがボウリングを学んで来なかったところに起因すると思われるのです。
土居健郎教授の名著『甘え」の構造』に待つまでもなく、とかくお客様は、わがままで何でもセンターに頼ろうとするる傾向があります。お客様と経営サイドとはとかく利害が相反するもの。お客様側はできうる限り安く投げたい。経営サイドはどうしても客単価を維持したい。こうした相反するスタンスをとりつづけるかぎりうまくいくわけはありません。
わたくしが声を大にして言いたいのは
【ひとつのリーグはひとつのクラブ】であるということです。
クラブはひとつの組織です。
組織である以上そこには代表者(リーグプレジデント)がいます。
幹事役(リーグセクレタリー)がいます。
そしてチームキャプテンが理事であり、全てのメンバーが会員です。
ルールもそのクラブで決めて、ゲーム代を除いたプライズフィーもクラブ全員で決めていくのです。
これが基本的リーグの出発点です。本山ボウルでは 2年前のオープン時よりこの基本路線に沿ってリーグをつくって来ました。全てがLTBリーグです。小さなセンターですのでリーグも小さなモノばかりです。嬉しいことにお客様にもご理解いただき、現在2年弱で18本のリーグ、約180名の方々がリーグを楽しんでおいでです。
お客様はリーグに関して素人でありルールもわかっておいででない。そこで最初の1年程度はセンタースタッフがアドバイザーとして名を連ねておく必要があります。
しかしながらリーグを核とした理想的な経営は現実的にまだまだ夢のまた夢。
99%以上のボウリング場はリーグを学んでいません。これはボウリング場だけではなく、プロボウラーがひどい。 わかっているつもり、わかっている振りをして間違ったことをお客様に伝えているのが多くの現実なのです。残念です。お客様はプロが言うのだからと疑問などもたずに受け入れてリーグもどきを行ってきている。もどきはあくまでももどき。プロだけではなくボウリング場スタッフも同様です。リーグを独立したクラブとして確立させていかない限りリーグの進展も、お客様の独立も、ボウリングの発展もないといっても過言ではありません。 。 この項続く
投稿者プロフィール
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1935年11月8日、東京都生まれ。1967年1月にライセンスNo.4の第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。プロボウリング協会創設メンバーでもあり、プロボウリング協会に貢献した人物。2014年4月逝去。株式会社スミ、初代代表取締役。
主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。