名古屋での仕事時の宿泊、ふところの暖かい時代、あたしゃー名古屋東急ホテルであった。 いま、ふところの寂しい時代、ビジネスホテルになっている。

くやしーってんで7月6日昼飯だけ東急ホテルに食いに行った。 なだ万のてんぷらコーナーである。 板さんによって味は違う、この日はがっかりしながら腹一杯にくった。 食い過ぎて苦しかったので、ロビーで一息ついて思い出したのであります。

30年ほど昔だっろうか? このホテルでの話し。 チェックアウト時の混雑、今でこそアメリカンスタイル(?)の並び方でいらつきは収まったが、その時代は早そうな列を見つけて並んだものである。 マーフィーの法則通り、早いと思って選んで並んだところほど、たいていは遅くなり地団駄を踏む思いをするものである。 30年前丁度そんな思いをしていた。 退屈紛れに、何の気ナシにフロント右横にかかっている大きな1枚の絵を見ていたのであります。 さてお立ち会い、その絵の右下に何と何と小さいけれどボウリングの風景が描かれているではないか。 1668年フランス「ベルサイユ宮殿完成間近の絵」なのである。 作者:ピエール・ノエテルとある。 ピンが3本3列に並び、ボウラーがあたかも1投を投じる瞬間みたいなのだ。 ナインピンなのだ。 かなりの距離から狙っているみたいだ。 工事人がベルサイユ宮殿を建設するために馬を使い、大理石だろうか運んでいる。 そのすぐ脇でボウリングなのである。 きっと位の高い高貴なお方のアソビ・スポーツであったのだろう。

当時の名古屋東急ホテルの総支配人はボウリング大好き人間であった。 わたくしは早速総支配人を呼びだして質問したものであります。 「この絵は1668年の風景とあるが、作者はいつ頃描いた作品なりや?」。 さすが一流のホテルだ。 総支配人は即座に調べてくれた。 曰く「ピエール・ノエテルという作者はイタリア人で、○○○というフランスの画家(メモしたが紛失、忘れた)の絵を模写した作品である。 描かれた時代と、もとの作品に関しては調べたがわからない」とのことであった。

たったそれだけの話しであるのであります。ふところの寂しいわたくしは、腹だけはくちく、ぼんやりとその絵を眺めながら、30年ほど前のふところの暖かった日々を思い出していたのであります。 いまでも同じ絵がかかっていたのは何故か少しうれしかった。 うれしくない懐だったけれど。

投稿者プロフィール

すみ光保
すみ光保
1935年11月8日、東京都生まれ。1967年1月にライセンスNo.4の第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。プロボウリング協会創設メンバーでもあり、プロボウリング協会に貢献した人物。2014年4月逝去。株式会社スミ、初代代表取締役。

主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。

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