“食いものとオンナが書けたら一人前だ”とどこかの小説家が言っていたような気がする。
だからって向こうを張ろうてわけじゃありません。ちょっとした食いもの体験談の羅列。
過去のエッセイとのダブリがありますがご容赦。

* 大昔、生まれて初めて鹿児島での1人仕事。初めての鹿児島で美味い物を食おうというので張り切ってホテルを出てタクシーに乗り「鹿児島で1番美味しいお店に案内してほしい」と告げた。
そんな情報を多く持ち合わせているのがタクシーの運ちゃんだ。  
任せてくださいといって自信ありげに連れて行ってくれた店。そこにはなんと大きく北海道料理専門店と印されていた。
鹿児島で北海道料理は食いたくない。北海道には月1で行っているのだ、ごめんなさい。
仕方なしホテルで夕食。

*  四国宇和島での仕事。仕事が終わった後、そのセンター社長が今日は美味しいもの珍しいものをご馳走しますよといって、鮨屋風の暖簾をくぐって入った店。カウンターがあり鮨屋と同じようなネタケース。
ただ違っていたのはネタケースに入っていたのは鮨のネタではなく、なんと生きている蛙群だった。
「お客さんどれにしましょうか、最初は刺身が良いと思いますがこいつはどうですか、美味いですよ」
じっと動かないキャツは目だけ光らせてじーっとこっちを睨んでいる。最敬礼してお詫び。  

*  長野市内で仕事を終えて、ある一流料亭みたいなところに案内された。期待感大。  
暫くするとまかないさんが桶を抱えて登場する。なんとそこにはどじょうの稚魚が真っ黒くうようよ一杯。
コップに日本酒を三分の一程度入れて、そこにドジョウの稚魚をすくって放り込むのだが、酒に苦しんで飛び出しちゃうので稚魚を入れたとたんにコップを手でふさぎ、そのまま酒とともに一気飲みするのだ。
喉ごしと胃でドジョウが動き回るのがたまらないという。
白魚の躍り食いは知っているけれどこれまた最敬礼してお詫びだ。

*  新潟のある地方都市。案内されたのが鯉料理専門店。
わたくしは川魚が全くダメでここでも最敬礼のお詫び。
岐阜でも一流割烹旅館に案内され豪華鮎料理コースだ。
何というもったいなさバカがとおとがめを受けそうですが、川魚ダメ。ここでも最敬礼。

*  いまはない三重松坂のあるセンターで仕事を終え、今日は美味い物を食いましょうとそのセンターのお偉いさん。
しめた和田金か、松坂牛か・・・・・  連れて行かれたところはなんとロイヤルホストだった。
ジャワカレーをよばれた。うなだれてホテルに。但し顔には出さないで。

*  長野上田にはじめていったとき生まれて初めて食したのがエノキ茸だけだった。
昭和43年だったと思う。すき焼きに入れてのご馳走だったのだけれど美味しかったですね。
以後エノキ茸は大好物。  
余談だけれど翌早朝センター現場に入って驚いた。レーン全面が真っ黒なのだ。よく見ると小さなカエルの大群だ。
オープンに合わせて取り除くのに大騒ぎした。カエルはボウリングが大好きなのだ。
きっとコンディショナーオイルが好物なのだろう。

*  エノキと同じようにエリンギ。これは名古屋が初めてでした。
東急ホテルの近くのステーキハウスでしたが、付け合わせのエリンギがこれまた美味しかったですね。いまや大好物。

*  名古屋と言えば半田で生まれて初めてシャコのボイルしたのをご馳走になった。
それまで東京では食べず嫌いだったのですけれど、これまたたまらなくおいしかったですね。

*  同じく名古屋では八千代という小さな割烹に連れていっていただいた。
1日に3組しか客を取らず、事前に予約客の好みを聞いておいて仕入れをし料理をつくるとのこと。
その絶品たるや二言無し。いまだれに聞いてもその店はわからない。

*  お鮨は本来ご飯の上に生のサカナをのせて食するものではないと思っています。
本物は何らかしらの手が施してあるあるものです。小(コ)鰭(ハダ)なんてのはそのさえたるものでしょう。
ズケだったり、三杯酢だったり、煮てあったり、特に穴子、蛤、イカ、アワビの蒸したり煮たものなんてのは良いですね。
ですからほんものの鮨屋ではわたくしはまずお醤油は使わない。  
車エビだって鮨では生ではなくボイルしてある方が美味しいとわたくしは思うのですがどうなのでしょうか。
生が食いたかったら刺身で食えばいい。
残念ながら最近は煮イカだとか煮蛤を出してくれる鮨屋がなくなったのは寂しいです。
蒸しアワビもまずないですね。名古屋に来て一軒気に入っている鮨屋があります。ここは本物だ。

*  東海地区は良い肉が揃っている。松坂牛だし、飛騨牛だし神戸も近い。
といって本当に良いステーキハウスにまだお目にかかれない。
良い店とは味と値段とのバランスだ。残念ながら東急ホテルの近くのお店はすでにない。

*  天麩羅大好き人間ですが、まだ名古屋で良い店にお目にかかれない。
同じ店なのに板さ違うと味が変わってしまう店はあったけれど、そんな店には行きたくない。
例えばつな八や天一だ。
全国チェーンのこれらは店によってあまりにも違いすぎる。
チェーン店の当たり外れはあるけれど、同じ店で当たり外れは困るのです。当たるとそこにばかり行く。  
ホテルキャッスルの地下に天麩羅があり昔大フアンだったのですが、ひいきの板さんが転勤になりそれ以来行かないけれどいまどうなのでしょうか。
キャッスルのスパニッシュオムレツの朝食は良かったけれどね。

*  ハンバーグで焼き方を聞いてくれる店は日本ではまずお目にかかれないけれど、名古屋の洋食屋で1件だけビーフハンバーグを出てきた鉄板で自分の好みに焼いて食べられる店がある。これは貴重ですね。
約2000円するけれど。ここはメンチカツもおいしかった。

*  名古屋で意外だったのは日本蕎麦のレベルです。
日本蕎麦大好き人間のわたくしとしては少なくても週1回ぐらいは食べたくなるのです。
藪系、更科系、竹藪系、などかなりの店がありますけれど蕎麦は良くても天麩羅はダメとかなかなか一致しない。
そばがきを食べるとその店のレベルが一目瞭然。
今池から歩いて15分程度の大通りに面しているそば屋がわたくしにとって現在1番です。
ここは本物だ。蕎麦は良いのだけれど天ぷらはダメというところは多い。  
しかしそれにしてもこの5~6年日本蕎麦の値段の上がり具合に腹が立っています。
何故2~3口でなくなるざる1枚が1000円なのでしょうか。
普通の大人でしたらざる1枚では足りない。追加すれば2000円。
ランチだったら2000円だせばイタリアンだろうがフレンチだろうがかなりのメニューが存在します。懐が寂しいわたくしとすれば最近特に身にしみるのです。

*  というわけでどなたか名古屋でおいしいお店を色々と教えてください。

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投稿者プロフィール

すみ光保
すみ光保
1935年11月8日、東京都生まれ。1967年1月にライセンスNo.4の第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。プロボウリング協会創設メンバーでもあり、プロボウリング協会に貢献した人物。2014年4月逝去。株式会社スミ、初代代表取締役。

主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。