「 すみ光保 ほとんどの人はお金をくれる人のために働く。認識の違いはお金をくれる人が誰かということだろう。
1番多いのは会社からお金をもらっているという認識。続いてが社長から。
会社を代表しているのが社長だから社長をあがめ奉るケースがとても多いような気がする。
本当にお金は会社や社長からもらっているのだろうか? では社長はダレからもらっているのか?
多くの社長は自分がお金をあげている気になっている。だから自分が1番偉いのだとの錯覚が多い。
ボウリング場の支配人を見ていてもそんな感じがする。
どうしてもピラミッドで組織をみて、頂点が社長だと思っているようだ。
間違えかどうかは別にして、メカという仕事やフロントという仕事と同格に社長の仕事もあり、リーダーという仕事も同様存在するのだとわたくしは思っているがどうか。
社長より多くの給料を取っているスタッフは、特に欧米では決して珍しくはないし、日本でもホテルの料理長などは社長より高収入の人が多い。給料の高低ではなく、人は全てイーブンの関係であるべきと考えるのだが・・・
お金をくれる人は誰か。その答えは簡単、お客さまだ。プロボウラーはフアン。
ここを誤るから本筋を見失うのではないのだろうか。
JPBAはこの間違いからいまだに抜け出していないのではないか。誰のための協会かという視点が全くみえない。
とにかく理念が伝わってこない。そもそも理念なんてないから仕方ない。改革運動は何度でも行うべきだ。
内部からの自浄作用や変革は望むべくもない。常に不可能だ。
既得権を得ている集団は内部改革でまず変化はしない。だから外部でグループをつくって働きかけを行うべきなのではないか。
これは会社組織にも言えることだろう。プロ協会には理念がない。ミッションがない。
今年は役員改選の年だ。
立候補者も代わり映えしないし、議事録で抱負を読んでも代わり映えしないし全く期待がもてない。そうしてその縮図が東海支部でもある。肩書きほしさから役員になりたいのだろうか。
こんなエピソードがある。
イタリアは有名な大理石の産地である。あるときある紳士が大理石を採掘しているAという石切工の脇を通りがかった際Aに質問をした。
「キミ、キミは何で身体に良くないそんな仕事をしているのかね・・・」
Aは答える。
「バカなことを聞くんじゃねえよ。オレだって好き好んででこんな身体に毒な仕事をしているわけじゃねえてんだよ。
女房、子供を喰わせなければならないだろ。バッキャ野郎オレの身にもなってくれってんだ。」
次にその紳士は同じ質問を石切工Bにした。懐からスケッチを取り出しながらBは目を輝かせて答える。
「旦那よくぞ聞いてくれましたね。あそこの丘のうえ見てよ(スケッチを見せながら)ほらこんな素敵な教会があの丘に建つんだよ。私がいま掘っているのはその教会の床材なんですよ。」と答えるのだった。
さて、AとBとではどちらが良い仕事をしているのだろうか。
このエピソードは約20年以上昔に読んだ「真実の瞬間」(ヤン・カールソン著ダイヤモンド社発行)のうろ覚え。
データによるとスタッフが会社を辞める1番の理由は人間関係だとのこと。
第2がやりがい感。会社の基本的考え方がここに表れるのだろう。“最良の報酬は仕事に誇り、やりがいをもてるということだ”仕事に責任を持つのは当たり前で、石切工Aも責任は果たしているのだ。
しかし重要なのは使命感だ。われわれリーダーは教会を設計して、その完成予想図を示し、建設への意欲を鼓舞するものでなければならないのだろう。そして人間関係を良くするには楽しく仕事ができる環境とやりがい感をどのようにつくるかだ。
わたくしはプロボウラーのライセンス保持者だ。ボウリングが好きで気づいたらプロになっていた。
そうしてその前提の上で(株)スミを起ち上げた。
1人でも多くの人にこの素晴らしいスポーツであるボウリングを知っていただきたい。
それにはLTB(ボウリングを学ぼう)しかないと考える。
ボウリングは教わらなくとも誰にもできるという優れた特質があるが、それは裏を返せばいつでも止められるとるという抜けやすさにつながっている。入りやすさの特質を活かし、抜けにくくするにはインストラクションつまりLTB以外ないのだ。
基本から学んだ人はおいそれとは止めない。LTB卒業生を見ていれば自ずとそれは明らかだ。テニスにしてもゴルフにしても水泳にしても、ほとんどのスポーツははじめある程度教えてもらわなければできない。
いきなりグリーンにでてゴルフはできないし、テニスだっていきなりの試合は無理だ。水泳に至っては溺れ死ぬ。
上級者にほとんど迷惑をかけずに初心者から出来、望めばリーグ(試合)にも参加できるのがボウリングだ。
だからこそ、単純でダレにでもすぐやれるからこそ基本を学ぶ必要があるのだ。
基本を学びリーグに参加した人は長続きするし、その良さを自然に身につけるのだ。
ここをわかっていないボウリング場、が多い。 まず自分のセンターのスタッフにボウリングを好きにさせられるかである。それさえできなくて、LTBもない。あなたのセンターのスタッフはバイトを含めボウリングが好きだろうか。
投げるのが好きだろうか。自分のボールをもっているだろうか。
わたくしのセンターはLTB一点集中での経営を行ってきたし、今後もそこは変わらない。
先の 「真実の瞬間」(ヤン・カールソン著ダイヤモンド社発行)の原題は「MOMENTS OF TRUTH」。しかしわたくしはこれを「決定的瞬間」と訳した方がぴったりくるような気がします。 お客さまが電話をくださる。そのときの対応はあなたのセンターのイメージをどう印象づけるかの決定的瞬間ではないだろうか。
お客さまがフロントに見えたときの対応。
ハウスボールやシューズの手入れ。レーンのコンディション。精算時のフロント対応。
それぞれ一つずつがMOTつまり決定的瞬間だ。大切なのはMOTマネージメントだ。業界で接客のセミナーをよくやるけれど、ボウリング場を念頭に置いた講習はまずない。
それだけ甘く見ているのだろうか。ボウリング場にはボウリング場としての接客がある。それが“インストラクション接客”なのだ。 つまりこのMOTの裏付けがその会社の考え方となる。
小郡スーパーBにしても本山Bにしてもお恥ずかしい限りでありますが、社内研修を定期的に行い、少しでもMOTのグレードを向上させたいと考えております。
みなさまの忌憚のないご指摘をお願い申し上げます。
できれば指導を買って出ていただきたいのですがいかがでしょうか。
投稿者プロフィール
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1935年11月8日、東京都生まれ。1967年1月にライセンスNo.4の第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。プロボウリング協会創設メンバーでもあり、プロボウリング協会に貢献した人物。2014年4月逝去。株式会社スミ、初代代表取締役。
主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。