ジャパンオープン2連覇!!!  
昨年鮮烈なるデビューを果たしたわが川添奨太が本年度ここへきてまたまたやってくれている5連勝だ。  MKカップ・シーズントライアル・新人戦・千葉オープン・そしてジャパンカップ2連覇だ。
年間8戦程度しかない試合での5連勝。  もしかすると全日本選手権も昨年に続き連覇するかも知れない。2年連続で3冠王の可能性も大。  とにかく凄い。この強さの秘密は何なのか? 

そこを今月は考えてみたい。  
まずフォーム上の指摘をしなければならないのは、<バックスイングトップからフォワードスイングに降りてきた“体側からリリースまでのストロークがだれよりも長い”>ということだ。  
一言でいえばここにこそ奨太の秘密と特徴があるといっていいだろう。  このストロークを長くとるために、これまた日本のプロはだれも行っていない程の低い前傾姿勢と、大きなスライドが特徴。
レベレージポジションだ。ここに奨太のボウリングの秘密があるのだとみる。これだけ長いレベレージポジションをとるプロは日本にはいない。
そのための前傾であり、この前傾があればこそバックスイングも大きくとれ、それがストロークに生かされている。これはだれにも真似ができない投法だけれど、大きなヒントにしていただくことにはなるだろう。  

5歩助走の奨太は右足に体重をかけて、左手でボールを支え胸とウデの間に構える。  
エイミング(狙い方)は、ターゲットを中心に、そこに通過したボールがどこで曲がり出すかのフッキングポイントまでをイメージし、そのイメージしたライン上に投球をしていく。
これは多くのプロにみられるエイミング法だが、その正確性において奨太は優れているとみる。やや半身に構えるのも特徴。やや半身はサイドアーミングを防ぐ。  

更に特徴といえるものに、フックとストレートの使い分けがある。左に残ったスペアは概してフックで対処するが、テンピンや③-⑩、③⑥⑩や、それぞれ右1本などはストレート対応だ。
あまり例を見ない。わたくしの知る限りでは西城正明ぐらいか?  

レーンコンディション対応も、アジャストメントを含めて肘・リストの使い方・アプローチ速度など、多様なテクニックを駆使する。
細かく観察しているとわかるが、肘の曲げ方や手首の使い方が試合によって微妙に違う。これは多分コンディション対応だ。
そのうち本人に聞いてみよう。  

左手は常にサムが下に来るカタチ。手のひらが後ろを向く。  
奨太はアンロード(ローダウン)とストローカーの両方の利点を生かしているといっていい。  
カップリストからブローキングリストに移行させるアンロードのリリースと、長いストロークを生かしたストローカーの双方の利点を上手く共存させているのだと見る。  

さて面白いと思うのは奨太の精神的対応だ。  
トーナメント時に、自分は対戦相手や他の競技者を絶対に意識しないといっている。意識したときは負けるときであり、平常心でないということだという。
昨年の2連続パーフェクトの時も全く300を意識しなかったそうだ。
1球1球をストライクを狙っていく積み重ねが結果2連続パーフェクトにつながっただけで、勝ちたいと思う気持ちが常に先行して300は全く意識無しといっていた。
つまり1フレずつの積み重ね。  

更に面白いのは普通プロボウラーはハイゲーム、例えば次のゲームは250にもっていきたいなどというゲームマネージメントを考えるのだが、奨太は減点法で対応する。
まず300を前提とし、第1フレームがスペア-だったら290になっていくように減点させていく。  

またアプローチにあがるときは必ず右足からあがりスタンスする。他に気をとられて間違うとはじめからやり直すという。  

精一杯点数をたたく練習が主体。トータル10、000点まで投げる。プラス1、000点まで投球するなど、スコアを出すことに専念するという練習が主みたいなのだ。  

試合に持参するボールは6個~10個。性質の違う曲がるボール3ヶ、曲がらないボール2ヶとスペアボールなど。  

山口の番組で「300チャレンジ」という番組があった。3週にわたって放映されたのだが、目の前で300を出そうというもので、ストライクが切れたらはじめからやり直し。
1週目ダメ。2週目ダメ。3週目にパーフェクト達成。
やはり300は難しい。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌と大忙しだ。近々初めての単行本も出版される。  

そうして、奨太は11月1日付けでソフトバンクと契約を取り交わした。ジャパンオープンに間に合ったわけだ。ソフトバンクのようなメジャーな企業の目にとまったということはわれわれの業界にとってとても大きなことであり、われわれは奨太の活躍に感謝しなくてはならない。  

来年はそろそろPBAに目を向けていきたい。それこそPBAで勝って世界1になってボウリングそのものがスポーツとしての注目をあびて、業界振興の最大エポックとしたいね・・・
奨太はそれを必ず実現させるだろう。

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投稿者プロフィール

すみ光保
すみ光保
1935年11月8日、東京都生まれ。1967年1月にライセンスNo.4の第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。プロボウリング協会創設メンバーでもあり、プロボウリング協会に貢献した人物。2014年4月逝去。株式会社スミ、初代代表取締役。

主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。