「1000万人のボウラーが存在すれば1000万人のコ-チが存在する」
これはわが恩師の一人故バズ・ファジオの言葉。  

確かにそうだ。どこのセンターに行っても“教え魔”は多く存在する。  
問題はいやがる相手に強引に教えたがる場合。
当センターにはにはそういった教え魔は多分いないでしょう。
過去1回だけ「一人で練習したいのに、いろいろ言われるのは嫌なんです。
来たくなくなります」と訴えられたことがありました。

わたくしはとても謙虚な人ですから決して当方から教えるなんて言いません。  
しかし声をかけられるのを待っていらっしゃる方が多いのも知っております。
お客様同士声を掛け合いアドバイスし合うってとてもいいことで、多くのボウラーはそういった仲間とのつながりや交流で上達していくのでしょう。

さて、いったいコーチとは何なんでしょうか?
ベルギーにコーチという町があるそうです。1400年代この町に初めて4輪馬車が出現したとのこと。4輪馬車を操るのは非常に難しく、丁寧に教えてもらわなければ操作できない。ここからコーチという言葉が派生したとの説。

もう一つは4輪馬車の馭者はお客様をご希望の場所にお連れする。つまりボウラーであるお客様をご希望の所にご案内するのがコーチである馭者ということです。  

わたくしは両方正しいと思っているけれど、どちらかと言えば後者。希望するとろにお連れするのがコーチングだと考えています。  
ですからわたくしは教えてと言ってこない人には絶対にコーチングは行いません。
アドバイスを含めてです。問題はコーチやアドバイスを求めたくもわたくしみたいな謙虚な人、もしくは言い出せない方をどうするかです。  
コーチングは引き出すことであり、ティーチングは教えること。ここの違いが難しい。  

「名選手必ずしも名コーチにあらず」という言葉があります。  

①名選手は自分ができるから相手もできるという誤解に陥りやすい。  
②従って自分の技術を押しつけがちの傾向がある  
③欠点指摘主義に陥りやすい  
④1度に複数のことを伝えたがる  
⑤フォームとアジャストを同時に伝えたがる  
⑥コーチが求めるフォームを相手に実体験させられない  
⑦心理的誘導効果のコーチング技術をもっていない  
⑧その他  

 本来コーチングには3ッの要素がありまして、
①コーチング 
②トレーニング 
③コンディショニング
 コンディショニングには肉体的コンディショニングと精神的コンディショニングがあります。
この3ッが合わさってコーチングだと考えます。
日本にはそのような意味でのボウリングのコーチはわずかの例外を除いていままで存在しなかった。
 
わたくしがもしコーチングを引き受ける場合は、
①貫通目標設定=最終目標の設定
②ピース目標設定=そこに到達するまでの単位ごとの目標 
③達成日程=いつまでに何を  
などを相手と話し合い、お互い納得した上で実行に移します。
ですから無料でできる筋合いのものではないのです。  

過去のコーチング体験を1例だけ紹介します。自慢話です。  
1970年だったでしょうか、国分寺パークレーンの林社長と福地支配人から連絡があ りまして「全国から女子プロ希望者を募り、次回プロテスト合格を目指したい。合格の場合1ヶ年は国分寺パークレーン専属」。という話で朝日新聞に約2000万の広告費を使い募集をかけました。

コーチはわたくしすみ光保、ハリー・日暮、故高橋克己の3名。  
80名以上の応募がありました。われわれ3名のコーチは全員に投げさせ、面接し、他のコーチには秘密で自分が教えたいプロ希望者を3名づつメモに記入し、チィチーノチで見せ合ったものです。

コーチってなんていい加減なのか、3人のコーチが選んだのは3人とも違う人たちでした。それだけ図抜けた素材がいなかったとも言えますが、わたくしは可能性で選び、高橋コーチは過去教えてきた人を選んだ。ハリーコーチはどうも顔で選んだ?  

わたくしが選んだFはそのとき150アベ。Kが120アベ。Mが140アベでした。  
10ヶ月後のプロテストに向けて、3人のコーチ間での競争でもあったのです。当時の女子プロテスト合格ラインは180アベでした。男子190。  
トレーナーにはもとオリンピック陸上トレーナーの前田新生氏。彼はボウリングではわたくしの生徒さんでした。それにしてもこれらのプロ希望者をわずか10ヶ月後のプロテストに合格させるのは非常にハードルが高い。しかもコーチングタイムは週2回の1回が約6時間だ。  
つまりここが言いたかっのだけれど、結果プロテストに合格したのはわたくしがコーチしたFとKの二人だけだった。
わたくしはプロテストに合格させるまでのコーチングは上手いけれど、トーナメントプロとして活躍させるコーチングがなかなかできなかった。  
現在有料コーチを実践し、説得力を持っているのは、わたくしの知る限りでは矢野金太ぐらいでしょうか? 

もしいまわたくしがコーチの要請を受けてもお断りせざるを得ません。
体力が無いからです。時代が違うからです。  

みな様がもしそのような本格的コーチングを望まれるなら、わたくしは迷わず有元勝を推薦いたします。
わたくしは有元コーチを保証します。
もっとも彼は、博多在住ですから、本山でコーチングを行うなうとしたら、交通費、1泊の宿泊費、コーチ料など最低約5万は必要となるでしょう。5千円づつ10名の希望者が必要ですね。
それだけの価値はあると思うのですが。

話を最初に戻します。お客さま同士のコーチング、これは自由ですが、やはりそのためのマナーですとか、暗黙のルールがあると思います。
多くの場合コーチングやアドバイスの行い方ですとか、基本を学んでおられない方が多い。拝見しておりますとほとんどの方が欠点指摘主義に陥っているようです。

そこでご提案ですが、30年以上指導者を指導してきましたわたくしの経験をいかしたコーチングシステムを作ったらと考えているのですがいかがなものでしょうか? 
「本山フレンドリーコーチ」制度とでも呼びましょうか?

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投稿者プロフィール

すみ光保
すみ光保
1935年11月8日、東京都生まれ。1967年1月にライセンスNo.4の第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。プロボウリング協会創設メンバーでもあり、プロボウリング協会に貢献した人物。2014年4月逝去。株式会社スミ、初代代表取締役。

主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。